ハウスメーカーと工務店の違いとメリット

ハウスメーカーで建てるか、工務店で建てるかというのは最初にぶつかる大きな問題です。

注文住宅ではどの会社に依頼するかが大切、とよくいわれているように、依頼先選びによって価格も家の出来も、その後の生活も大きく変わります。
一生に一度しかない大きな買い物ですから、依頼先の選定は間違いがないように慎重に行う必要があります。

一戸建てを扱う会社は大きくハウスメーカーと工務店に2つに分けることができます。
では、どちらに頼んだほうが良い家づくりができるのでしょうか。
今回はハウスメーカーと工務店の2つを比較し、どちらを選ぶのが良いのか考えていきましょう。

◇ハウスメーカーと工務店
家づくりの話題では必ず見かける「ハウスメーカー」と「工務店」ですが、実はこの2つを正確に区別できるような基準はありません。慣例として呼び分けているにすぎず、明確な基準や法律などがあるわけではないのです。

●ハウスメーカー
昔は、積水ハウス、セキスイハイム・大和ハウス・パナホーム、ヘーベルハウス・ミサワホーム、住友林業、三井ホームの大手8社のみを指す言葉として用いられていました。
しかし、現在ではそれ以外の住宅メーカーを指す言葉として一般的に使われるようになっています。
基本的には広範囲に事業を展開している規模の多い住宅メーカーを指して「ハウスメーカー」と呼ぶことが多いです。

●工務店
ハウスメーカーに対し、一つの地域で住宅建設を行っている建設業者を「工務店」とよんでいます。

一口に工務店といっても、実際には色々なタイプの工務店があります。
新築住宅をメインに扱っているところもあれば、新築は一切扱わず、リフォームをおもに取り扱う工務店もあります。また、一般住宅ではなく、店舗の建設や改装を得意としている工務店もあります。

ただ、今回はハウスメーカーとの比較をする関係上、「工務店」は新築の戸建て住宅を主に扱っている会社のみに限ることとします。

工務店では、ハウスメーカーや個人から住宅の建設工事を請け負って、現場で工事を行います。住宅の建設には、大工の他、鳶や左官、水道や電気工事などの専門的な職人が必要になります。そうした職人たちを手配し、取りまとめるのも工務店の役目です。

●ハウスメーカーと工務店の区別
前述のように、この2つを明確に分けることができるような基準は存在しません。
一般的には、会社の規模と家づくりの方法によって区別しています。

まず、一つの地域ではなく、広い地域で住宅を扱う規模の大きいものがハウスメーカーと呼ばれています。
ただ、この規模の大きさにも基準はなく、どれぐらいの範囲で展開していればハウスメーカーと呼べるのかについては、はっきりと決まっていません。

誰でも知っているような超大手ハウスメーカーでも、寒冷地の住宅を取り扱っておらず、実は47都道府県全てで展開していない場合もあります。一方で、特定の地方のみで展開しているにも関わらず、ハウスメーカーを名乗ったり呼ばれたりする会社も存在します。
一条工務店のように、ハウスメーカーに分類される会社でも「工務店」の名前がついているケースもあり、非常にややこしいです。

もう一つの家づくりの方法ですが、全体の傾向として、ハウスメーカーの住宅は規格がある程度決まった商品の中から選択し、選んだものを建てるというスタイルの住宅が多いです。もちろん家の大きさや間取りを選ぶことは出来ますが、既に決まっている部分も多く、用意されているパーツの中から選んで家をたてるような家づくりになります。
一方の工務店ですが、ハウスメーカーと比べると一から家をつくっていくという要素が強いです。商品を購入するというよりも、オーダーメイドで家を作るという感覚に近いです。

ただ、これも傾向でしかないため、例外や合わないケースはいくらでもあります。

◇ハウスメーカーと工務店を比較
ハウスメーカーと工務店は規模や家づくりの方法が違うということがわかりました。
では、それらの違いは実際に注文住宅をつくるにあたって、どんな影響をおよぼすのでしょうか。
いくつかのポイントに分けてハウスメーカーと工務店の違いを見ていきましょう。

●価格の違い
絶対に無視できない価格の違いからチェックしていきましょう。

全体の傾向としては、工務店の方がハウスメーカーよりも安いです。

ハウスメーカーの住宅は非常に効率的に造られており、材料の大量入荷や建材の大量生産によってコストの削減が行われています。工事のススメ方もマニュアル化されており、無駄が少ないです。
それにもかかわらず、ハウスメーカーの方が高価格になりやすいのには、いくつかの理由があります。

まず一つは、広告や宣伝にお金をかけているためです。
誰もが知っている有名ハウスメーカーは、知名度をあげるためにたくさんの広告を出しています。たくさんの人に知ってもらうことで顧客を増やし、住宅を大量生産できるような環境を作り上げているのです。
また、大手は研究開発にもコストをかけています。規模の小さい工務店では、新しい技術の開発に取り組むことはなかなか出来ません。

これらの費用が住宅の価格に上乗せされるため、ハウスメーカーの住宅は効率化が進んでいるにもかかわらず、工務店よりも高価格になりやすいのです。
例えば3000万円の住宅の場合、ハウスメーカーではそのうち500万円程が広告宣伝費だといわれて居ます。

ただ、価格はあくまでも傾向であり、ハウスメーカーでも価格を抑えた家づくりは可能ですし、工務店でもこだわりの家を建てようと思えば価格も上がります。

●技術力の差
大手のハウスメーカーの方が圧勝するのではないか、もしくは熟練の職人外装な工務店が強いのではないか、と思う人もいるかもしれませんが、技術力についてはどちらが勝っているとも言えません。

というのも、ハウスメーカーを選んだ場合でも実際に工事するのは、下請けの工務店だからです。技術力があるかどうかは、どこの工務店が携わるかによって左右されるため、どこのハウスメーカーであれば技術力がある、ともなかなか言い切れません。

工務店の場合、技術力は会社によるため、依頼時には信頼のおけるところを選ぶ必要があります。
良い工務店を見分ける方法としては、同じ地域で長く続いている工務店は、確かな腕を持っている可能性が高いです。
同じ地域で事業を続ける関係上、悪い評判はあっという間に広まってしまいますし、安定して存続し続けるためには確実に成果をあげていなければなりません。
規模の大きくない工務店であっても、長く続いている会社であれば、高い技術力が期待できます。

一方、ハウスメーカーの下請けは自分で選ぶことが出来ません。この点からすると、工務店選びさえ上手にできれば、工務店の方が技術力のある可能性が高いといえるでしょう。

ただ、ハウスメーカーの場合は材料の規格化、現場工事の簡略化、作業のマニュアル化などが進められているため、現場の技術力に出来が左右されにくいという性質があります。多少技術力が欠けていたとしても、問題の発生しにくいシステムになっているのです。

●品質の安定性
建材や建具などのパーツレベルで言えば、ハウスメーカーの圧勝でしょう。

建材は現場加工ではなく工場で加工されているため、個人の判断に左右されず、常に一定の品質を保つことが可能です。
大手ハウスメーカーのなかでは、扉や窓のなどの建具や金物まで自社製品を使用しているところもあります。この場合、自社の名前に傷がつかないように安定した品質のものを使って居ます。

工務店の場合、品質は個々の工務店によります。
材料一つひとつにこだわっている工務店もあれば、価格を抑えるためにギリギリまで質を下げたものを使用している工務店もあります。

建物全体の品質で考えた場合は、工務店の方が有利です。

ハウスメーカーの場合、客と直接打ち合わせをする営業と、現場管理の担当者は別であることがほとんどです。効率出来ではありますが、客の目や要望が届きにくい環境です。

しかし、工務店の場合は現場管理の担当者と営業が同じケースが多く、客との距離も近いです。要望や希望が通りやすく、質の高さも期待しやすいです。

●工期
構法にもよりますが、ハウスメーカーの方が圧倒的に短いです。

ハウスメーカーでは工場で木材などを加工しておき、現場では組み立てるだけというスタイルが多いです。特に工期の短いハウスメーカーの場合、箱状に組み立てた部屋を現場まで運び、一日のうちに家の形が出来上がるというところもあります。
こうした事前加工による工期短縮はハウスメーカーの強みの一つです。

工期の短さは建て替えの場合に特にメリットが大きく、仮住まいの期間を短縮することが出来ます。

●柔軟性の高さ
せっかくマイホームを建てるのだから、理想の住まいを実現したいという人も多いことでしょう。
柔軟性や要望の通りやすさ、実現性という点においては、工務店の方が優れています。

ハウスメーカーの住宅は企画が決まっているため、細かい要望には対応しにくいです。対応ができたとしても、規格から外れた住宅は値段が上がりやすく、現実的ではなくなってしまいます。

工務店はプランや規格がハウスメーカーにくらべそれほど定まっていません。
要望を聞きつつ家づくりを進めていくことができるため、細かい要望への対応や、こだわりの一軒家づくりもしやすいです。

●住宅ローン
基本的に、住宅ローンの審査は、年収や借入額、信用情報に左右されますが、建築会社の影響も存在しています。

ハウスメーカーは担当も配置も変わりやすく、長くその地域で同じ銀行とやりとりしている担当者はなかなかいません。

対して工務店は長くその地域で担当を続けている場合が多く、実績のある工務店であれば銀行からも信頼を得ている可能性が高いです。
住宅ローンの手続きを代行して貰う場合も、経験豊富な工務店に依頼したほうがスムーズでしょう。

◇ハウスメーカーと工務店、どちらがいいのか
ここまで比較してきて分かるように、ハウスメーカーにも工務店にもそれぞれ長所や欠点があります。
どちらかが絶対に優れているとは言えません。

ハウスメーカーと工務店、どちらを選ぶかで重要なのは、家づくりにおいて重要視している部分を優先するということです。
何よりも安心感を求めているのであれば、ハウスメーカーがおすすめです。価格を抑えつつ自分の好きな家を建てたいと考えているのならば、工務店を探しましょう。
何を大切にしたいのかによって、ハウスメーカーが向いているのか、工務店が向いているのかが変わります。

それぞれのメリット・デメリットを比較しながら、何を重視して家づくりを進めていくか考えてみましょう。