注文住宅、完成までの道のりは?

いざ家を建てようと思っても、一体何からはじめたら良いのか、どんなことをしなければならないのか、なかなか想像がつかないものです。

家づくりを始める前に、あらかじめ全体の流れを知っていれば、予想外の事態に慌てる心配もなく、スムーズに進めることができるようになります。無駄な時間や手間を減らすことができれば、時間短縮にもなります。

家づくりにかける時間が短ければ、それだけ早く新しい生活に移れるうえに、家賃の支払い回数を減らすこともできます。また、住宅ローンの返済を早く始めることができれば、それだけ完済もはやくなります。

計画を建てる上でも全体の流れを知ることは重要です。
この日までには入居したいという希望がある場合は、どんな手順を踏むかに加えて、各工程にどれぐらいの時間がかかるのかを知る必要があります。
何にどの程度時間がかかるのかを把握することで、目標日から逆算して計画を立てることができます。

今回が、注文住宅を例に、予算の作成から入居までスムーズに進めるための手順を紹介します。多少の違いはありますが、規格住宅の場合もほぼ同様の流れとなります。

●全体の流れ
住宅や土地の購入には色々な手順・方法があり、これが絶対に正解、これが一番確実に早いというものはありません。それぞれの事情により最も良い選択肢は異なります。
今回紹介するのは、オーソドックスで該当者が多く、一番スムーズに進めやすいだろうと考えられる流れです。

土地購入の必用がある注文住宅購入の流れは以下のようになります。

1.予算の決定
2.土地の仮押さえ
3.依頼先決定・建物プラン作成
4.住宅ローン事前審査
5.建物プラン最終決定
6.契約手続き
7.住宅ローン本審査
8.土地所有権移転手続き
9.建築工事
10.引き渡し・入居

●予算の決定
どこの土地を購入するにしても、どんな家を建てるにしても、どの程度お金が使えるか分からなければ考えようがありません。
まずは、住宅購入にどの程度使うことができるのか予算を決定することが重要です。

予算を考える際は、全体でいくらという形ではなく、月の返済額を基準に考えるのがおすすめです。毎月の返済額がどの程度までであれば滞りなく返済が続けられるかという観点が大切です。
住宅ローンの返済は何十年と毎月続けていくものになります。日々の生活への影響は非常に大きいです。

毎月支払っている家賃を基準に考えてみるのも良いでしょう。
家賃を支払っても余裕があるようなら、それよりも多い金額を返済額にしても大丈夫でしょう。反対に、今の家賃の支払いを厳しく感じているのであれば、それよりも少なめに設定するべきです。

賃貸とは違い、持ち家はメンテナンスも自分で行うことになります。維持や補修のための費用を考えると、住宅ローン以外にも住宅のための費用がかかると考えておく必要があります。

●土地の仮押さえ
予算が決まったら、今度は土地探しをはじめましょう。

どんな土地に建てるかによって、家の形も変わります、建物について具体的に考えるよりもまず先に土地を仮決定したほうが良いです。

土地の形や傾斜はもちろん、周囲の状況も家づくりに影響します。隣家との距離が近ければ、中が見えてしまうような大きな窓のあるリビングは作りにくいです。日当たりや騒音の影響も考える必要があります。
土地を決めるよりも先に、間取りを決めてしまうと、土地の状況とあわずに修正が必要になったり、考え直しになったりする可能性があります。
二度手間を防ぐためには、土地を先に決める必要があります。

気に入った土地を見つけたら、まずは仮押さえをします。
土地の仮押さえは、不動産会社に買付証明書を提出することで可能です。

買付証明書には法的な拘束力はなく、違約金や手数料なしで購入を撤回することができます。
しかし、だからといって気軽に仮押さえをしたり、複数の土地をキープしたりしてはいけません。
法的な拘束力がないということは、信頼関係で成り立っている仕組みであるということです。信用を失うような行動をすれば、買付証明書を受け取ってもらえなくなる可能性もあります。
特に悪質であると判断されれば、損害賠償を求められる可能性もあります。

●依頼先決定・建物プラン作成
土地の次は建物について考えていくことになります。

建物の詳細なプランを練る前に、まずはどこの住宅会社に建築を依頼するか決めなくてはなりません。
住宅の出来栄えや快適さは、依頼先によって大きく左右されます。依頼先の選定のためには積極的な情報収集が必須です。

土地を抑えた後に依頼先を一から選ぶとなると非常に時間がかかります。家づくりを考えはじめた時点で、どんなハウスメーカーや工務店があるのか調べ、土地探しと平行していくつかの候補を探しておくようにすると良いでしょう。

依頼先を数社まで絞ったら、それぞれに住宅のプランを提案して貰いましょう。もしかすると、情報収集をするうちに「ここで建てたい」と決めた会社があるかもしれません。しかしその場合でも、念のため他の会社からも提案を受けておいたほうが良いです。

他の人が建てた住宅が魅力的でも、その会社が自分の希望に応じて建てられる住宅が同様に魅力的であるとは限りません。もっと他に良い提案をしてくれるところがあるかもしれません。
良いものを選ぶためには、いくつかのプランを比較してみることが大切です。

ハウスメーカーや工務店の中には、契約後でなければ一切のプランは出せないと説明するところもあります。
確かに詳細な間取りの作成や細かな打ち合わせにはコストが掛かるため、無償で応じることができないというのは理解できます。ただ、最初の提案すら難しいと断るような会社は避けたほうが無難です。

契約するということは、法律に縛られるようになるということです。提案が気に入らないからといって、契約を破棄すると違約金を支払うことになってしまいます。

どんな家を提案してくるか全く分からないにもかかわらず、安易に契約してしまうのは非常に危険です。

さて、依頼先が決まったら、どんな家をたてるのか詳細に決めてゆきます。
間取りだけでなく、設備や外観、内装など出来る限り細かくこの段階で決めてしまいます。この後でも変更は可能ですが、住宅ローンの審査の関係上、これ以降大幅な変更をするのは難しくなります。

●住宅ローン事前審査
住宅ローンには事前審査と本審査があります。

本審査は土地や建物の契約の後に行うのですが、契約後に肝心の住宅ローンが借りられないとなってしまっては購入者も住宅会社も困ってしまいます。
そこで、契約を結ぶ前に住宅ローンが借りられそうかのチェックを行うのです。

この時の注意点としては、事前審査の時の金額と、本審査の時の金額に大きな開きがないようにすることです。金額が減るのであれば問題はありませんが、借入額が増えると住宅ローンの条件も厳しくなるため注意が必要になります。

できれば事前審査の時点で借入可能額の上限を聞いておくと良いでしょう。その上限以内であれば、借入額が増えてもそのまま本審査に通る可能性が高いため、プランの変更も行いやすくなります。

審査には1週間程度かかります。

審査時にチェックされるのは、主に年収や他のローンの借入状況、信用情報などです。
転職したばかりの人や、他にも借り入れがある場合、追加で書類提出などが必要になることもあります。この場合、書類のやり取りやチェックなどで審査に時間がかかることになります。

●建物プラン最終決定
建物のプランに変更を加えたい場合、ここが最後のポイントになります。
契約を結んでしまうと基本的に変更は難しくなります。

住宅ローンの事前審査が終わってしまっているため、大きな金額の変動を伴うものは難しいですが、これ以降は小さな修正も難しくなってしまいます。
後悔や不満が残らないよう、細かくチェックしましょう。

●契約手続き
土地と建物の契約をします。

もっと早い段階で土地の契約手続きをしてしまう人も居ますが、建物の内容が完全に決まるまでは仮押さえに留めておくことをおすすめします。

予算が決まっている以上、土地の金額が決定した時点で建物に割くことのできる金額も決まってしまいます。
しかし、建物のプランを練っていくうちに、もっと建物にお金をかけたいと思うかもしれません。そんな時、土地の契約がまだなら、土地の価格を抑えて、建物の予算にまわすことができます。
柔軟性を考慮すると、土地の契約はギリギリまで伸ばしたほうが便利です。

土地と建物の契約には「住宅ローン特約」というものをつけます。
これは、住宅ローンの本審査に落ちてしまった場合、違約金なしで契約を白紙に戻せるというものです。この特約がないと、万が一住宅ローンが借りられないとなった時に大変なことになります。
住宅ローン特約を設けるのが普通ではありますが、念のため確認するようにしましょう。

●住宅ローン本審査
事前審査から大きな変更がなければ、基本的には問題なく通過できます。

事前審査よりも金額が減っていれば特に通過しやすいです。金額が増えていた場合は、融資条件に満たないため不可となる可能性があります。

しかし、中には事前審査から変化がないにも関わらず、本審査に通過できないケースも存在しています。

本審査では事前審査の時よりも細かく審査が行われ、チェックされる項目が増えます。そのため、事前審査で問題ないと判断されていたにも関わらず、本審査で引っかかってしまうのです。

まず考えられるのは、建物と土地の評価額が借入額よりも明らかに低い場合です。

住宅ローンを組む際は、土地や建物が担保となります。万が一住宅ローンの返済が困難となった場合、担保となった土地や建物は金融機関のものになります。
土地や建物の評価額が融資金額よりも低すぎると、担保としての価値が不十分とみなされてしまいます。

建物の評価額は床面積に影響されます。建築費が高くても床面積が小さければ、評価額が低くなってしまう可能性があります。

2つ目は、団体信用生命保険の加入が必須にもかかわらず、健康上の理由により保険への加入が認められないというケースです。

団体信用生命保険とは、加入者がなくなったり重い病気になったりなどして、住宅ローンが払えなくなってしまった時のための保険です。住宅ローンの中にはこの団体信用生命保険への加入が必須の商品があります。

対策としては、団体信用生命保険への加入が必要のない住宅ローンを利用することです。例えば、フラット35では団体信用生命保険への加入が義務ではありません。

本審査にかかる時間は、事前審査よりも少し長く、2週間から1ヶ月程度です。
こちらも追加書類の有無等で時間が伸びる可能性があります。

●土地所有権移転手続き
住宅ローンの本審査に通過すれば、もう審査に落ちる心配もなくなるため、住宅ローン特約の必要もなくなります。
いよいよ土地の所有権を前所有者から受け取ることになります。

土地所有権移転の手続きの際は、購入者と前所有者の他に、不動産会社や司法書士が立ち会います。そこで契約書のやり取りを確認したら、依頼された司法書士が金融機関に手続き完了の旨を伝えます。
司法書士から連絡をうけた金融機関は、土地の購入者に土地の代金を振り込み、今度は購入者が売り主に土地の代金を振り込んで一連の流れが完了します。

土地所有権移転にはいくらかの費用が発生します。
まずは所有権移転登記のための費用。これは土地の広さによって変わりますが、10万円から20万円程度です。
そして、土地の売り主が不動産会社以外の場合は、不動産会社に仲介手数料を支払います。仲介手数料は土地の金額によって変わり、数十万円ほどかかります。

他にも、水道加入金などの費用が発生することがあります。

●建築工事
いよいよ建物の工事となります。
工事そのものについては特にこちらがすることはありませんが、流れを知っておけばどのぐらい日数がかかるのかも分かりやすくなります。

住宅の工事の流れには色々ありますが、一例として紹介します。

1.確認申請(1~2週間程度)
2.地鎮祭(希望すれば)
3.地盤調査・地盤改良工事(地盤改良工事は必要にがあれば)(1週間程度)
4.基礎工事(1週間程度)
5.建物工事・付帯工事(45~90日程度)

工事の手順や所要日数については、会社や工法によって異なるため、あくまでも参考としてください。その会社でどのぐらいの工事期間がかかるのかについてはそれぞれの会社に直接聞いてみましょう。

●引き渡し・入居
建物が完成したら引き渡しとなります。

住宅の鍵を受け取るだけでなく、キッチンやバスなどの設備の使い方や、メンテナンスについての説明を受けます。設備の説明書や保証書も忘れず受け取りましょう。
賃貸とは違い、住宅の監理も設備の監理も自分で行うことになります。何か使い方などで疑問があればこの時に解決しておきましょう。

引き渡し後、引っ越しが完了すればついに新居での暮らしが始まります。

●家づくり開始から入居まで
今回紹介した家づくりの流れはあくまでも一例ですが、手間を省いたり柔軟性を確保したりするための工夫は多少手順が違っても役立つはずです。

また、家づくりの計画を立てる際には、自分で短縮可能な部分と、短縮できない部分をわけて考えることも大切です。
住宅ローンの審査にかかる時間や、工事にかかる時間は自分の都合ではどうにもできません。

住宅ローンの事前審査:1~2週間
住宅ローン本審査:最短1週間、通常2週間~1ヶ月
確認申請:1~2週間
地盤調査・地盤改良工事:1週間
工事:7週間~13週間

いつまでに入居しておきたいという目標がある場合は、これらにかかる時間を確実に確保した上で、土地探しや依頼先探し、プランの調整にかかるであろう時間を加えて考えることになります。